【マンションの大規模修繕】周期は何年ごと?時期の見極め方と費用を抑える方法
マンションを長持ちさせる上で欠かせないのが「大規模修繕工事」です。
しかし、いったいどのくらいの周期で工事を計画すればいいのか判断に困っている方は少なくないでしょう。
そこで本記事では、神奈川の防水プロフェッショナルである『大進双建』が、マンション大規模修繕の周期年数と長期修繕計画について詳しく解説します。
修繕にかかるトータルコストを抑えるコツや長寿命化のポイントも紹介しますので、マンションの資産価値を維持して長期に渡って住み続けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
このコラムのポイント |
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Contents
マンションの大規模修繕工事とは
マンション管理組合で実施される総会などで「大規模修繕工事」は定期的に議題に上がるため、「言葉だけは聞いたことがある」という方も多いはずです。
「長期修繕計画」とは、設備などの軽微な修理ではなく建物の寿命に関わる部分に関する修繕計画を指し、計画書の中では最低でも新築時から30年間の「工事時期・工事範囲・修繕金の積立計画(修繕積立金の金額や値上げ時期)」などが記載されます。
作成は義務化されていませんが、計画書のないマンションは適切な大規模修繕工事が実施されない可能性があることから、不動産価値や居住環境が下がったり建物寿命が短くなったりするリスクがあります。
大規模修繕工事の具体的な内容は以下のとおりです。
- 外壁改修工事(モルタル塗装・タイル及びタイル目地補修など)
- 屋上防水工事
- ベランダ防水工事
- 鉄部塗装工事(階段・屋上手すり・バルコニー手すりなど)
- 給排水管及びガス管の交換
- エントランス・エレベーター・ポスト・宅配ボックス・ゴミ置き場など共用部の大規模な改修工事
ちなみに、共用部の故障修理や植栽剪定、クリーニングなど比較的費用がかからない工事や保守点検は、大規模修繕ではなく管理業務となるため、修繕積立金ではなく管理費が使われます。
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マンション大規模修繕の周期|12・15・18年の違い
マンションの大規模修繕工事は、建物の価値と機能を維持するために欠かせません。
そこで適切な周期について調べると、「12年」「15年」「18年」と異なる年数を目にするはずです。
それぞれの年数には根拠があります。
「12年」とされている理由
多くのマンションが大規模修繕工事を実施する周期として「12年」を目安にしています。
その理由は、国土交通省が2008(平成20)年に公表した「長期修繕計画作成ガイドライン」にあります。
国土交通省がマンションの大規模修繕工事周期を「12年」と定めている訳ではありませんが、マンションの性能を維持するための“目安”として提唱しているのです。
そのため、2008年以降に建てられたマンションだけではなく、2008年以降に大規模修繕計画を見直したマンションの多くが、改修の時期を「12年周期」に設定しています。
(参考:国土交通省|「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて)
大規模修繕工事の周期を12年に設定する理由は他にもあります。
屋上防水工事の施工保証が10年程度で設定されているケースが多く塗料やシーリング材の平均耐用年数が10〜15年程度であることや、特定建築物定期調査(※)の実施が10年ごとに義務化されていることも大きく関係します。
※特定建物定期調査:建築基準法第12条によって義務化されている定期点検で、共用住宅(集合住宅)を含む公共的な建物が対象。建築設備・防火設備やエレベーターなどを点検する。
特定建物定期調査には外装点検は含まれませんが、同じタイミングで外壁や屋上防水、共用廊下などの点検を手配するマンションは少なくありません。
「15年」とされている理由
現在の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、1回目のマンション大規模修繕実施時期を「築12〜15年」としています。
そのため、比較的新しく建てられたマンションは新築時に作成された長期修繕計画で大規模修繕の周期を「15年」に設定しています。
また、大規模修繕計画の基本的な作成期間が30年であり、その中で2回目の大規模修繕工事までスケジュールを立てている物件も少なくありません。
「18年」とされている理由
多くのマンションにおいて長期修繕計画が30年周期で立てられている中、最近はマンションの長寿命化が進んでいることから50〜60年とさらに長いスパンで修繕計画を立てるマンションも少なくありません。
その背景には、塗料など建材の性能向上や、新しい工法の普及が関係しています。
長期修繕計画を長いスパンで検討することで、トータルの修繕コストを削減できる可能性があります。
仮にマンションの寿命を60年と設定した場合、修繕周期によって工事回数が変わり、その分かかるコストに影響するのです。
大規模修繕工事の周期 | トータルの工事回数 |
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12年周期 | 5回 |
15年周期 | 4回 |
18年周期 | 3回 |
近年は材料費・工事費の高騰が著しく、当初予定していた修繕積立金では改修できない事案が増えていることも、大規模修繕工事の周期が長期化している一因とされています。
国土交通省の調査によると、現在の修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足していると回答したマンションは全体の「36.6%」にも上りました。(参考:国土交通省|令和5年度マンション総合調査)
ただし、単に工事周期を延ばしてもいいという訳ではありません。
既に劣化が進んでいるマンションでは、大規模修繕を後回しにすると構造躯体に深刻なダメージが加わり、余計に改修費用が高くなる可能性があるため注意しましょう。
修繕積立金の額とマンション寿命までの残期間の両方を踏まえて、適切なプランを提案できる施工会社へ相談することが重要です。
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マンション大規模修繕の実態|周期の平均年数と長期修繕計画見直しの重要性
国土交通省のマンション大規模修繕に関する実態調査によると、1回目の実施は「築15年」、2回目が「築28年」、3回目が「築40年」という結果が出ました。(参考:国土交通省|令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査)
※上記年数は回答の中央値
マンションの長期修繕計画は作成当初の計画を進めればいいという訳ではありません。
思わぬ劣化が見つかって当初予定していた修繕時期では遅いケースもありますし、逆に想定よりも劣化スピードが遅く、大規模修繕工事の時期を遅らせられる可能性もゼロではありません。
そのため、「長期修繕計画作成ガイドライン」では、長期修繕計画を5年に一度見直すことが推奨されています。
実際に国土交通省の調査では、「5年を目安に長期修繕計画を定期的に見直している」と回答したマンションは63%にも上りました。(参考:国土交通省|令和5年度マンション総合調査)
長期修繕計画を定期的に見直すメリットは以下のとおりです。
- 共用部の劣化を早めに発見できる(改修コストの削減・資産価値の維持)
- 物価上昇に合わせた修繕積立金を設定できる(将来的な修繕費用不足の防止)
- 最新技術や建材性能に合わせて修繕周期を長期化できる(トータルコストの削減)
- 管理計画認定マンション(※)となり、マンション長寿命化促進税制によって“固定資産税の減税”を受けられる可能性がある
※管理計画認定マンション:マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した自治体で実施されている認定制度で、長期修繕計画の作成及び定期的な見直しが認定条件に含まれている。(参考:国土交通省|管理計画認定制度)
このように、マンションの長期修繕計画の見直しは、コスト面においてもメリットがあります。
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長期修繕計画・修繕周期の見直し方
マンションの長期修繕計画や大規模修繕の周期を見直す際に最も重要なのは「現状を正しく把握する」点です。
最近は、単に建物の劣化を抑えるだけではなく、生活スタイルや住民の要望に合わせた性能向上(バリアフリー・断熱改修など)も重要視されています。
マンションをより長寿命化したい方は、以下のポイントを押さえて長期修繕計画や大規模修繕の周期を見直しましょう。
- 部位・部材・設備ごとに定期点検を行なって、劣化状況を細かく確認する(適切な工事時期の設定)
- 必要とされる工事内容の見積もりを取り、修繕積立金と差異がないか確認する(融資の必要性・修繕積立金の値上げを検討)
- 改修の際により高い性能の建材・工法があるか検討する(周期の長期化)
- 将来まで見据えて計画を立てる(建物寿命までの残期間を踏まえる)
長期修繕計画や大規模修繕の周期を見直す際は「修繕積立金がどのくらい残っていて何年でいくらくらいになるのか」と「そのマンションをあと何年ぐらい維持したいか」を確認し、それに合う計画を立てましょう。
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マンションの寿命を延ばし、ずっと安心して住み続けられるようにするためには、定期的な点検と改修が欠かせません。
そして、信頼できる業者選びも重要になります。
マンションを長寿命化したいオーナー様や管理組合様は、ぜひ「大進双建」にお気軽にご相談ください。
お客様のマンションの状況に合わせた最適なプランを提案し、定期点検の計画から施工後のメンテナンスまで一貫してサポートいたします。